2006年8月25日金曜日

コンピュータへの帰還

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もう、1週間ほど前になりますが、Microsoft からとても興味深い発表が行われました。



これは、XBOX360 と WindowsXP の両方で動作するゲーム制作環境“XNA Game Studio Express” を無料配布するという記事です。



家庭用ゲーム機の開発環境といえば、法人向けの非常に高価なモノが中心なのですが、それを、なんと無料配布するという太っ腹。しかも、このXNA Game Studio Express で作成したゲームを配布するための Web サイトまで作成するとのことです。これをうけて、「ゲーム版YouTubeを開設」と表現しているサイトもありました。



ただ、この開発環境は、現在販売されているゲームを作成している開発環境とは異なり、Microsoft が Windows で進めている .NET 環境をベースにしたモノなんですよね。具体的にいうと、CPU のネイティブコードが作成できる訳ではなくて、Windows とXBOX360 に実装される .NET 用 VM で動作するようなバーチャルコードを生成するための開発環境のようです。もちろん、ゲーム用に様々なAPI は追加されるでしょうけど。



コレによって、実行速度面では、市販のゲームと比べると劣るのは間違いありませんが、逆に開発の容易さはぐっと上がるでしょう。また、XBOX360 だけでなく、Windows でも動作するというのは大きな魅力です。それに、この開発環境で Microsoft がターゲットにしているのは、一般的にカジュアルゲームと呼ばれるような「手軽に遊べるゲーム」であるとおもわれるため、その目的にもとても、マッチした選択肢だと思われます。



さらに、興味深いのは、この環境で作成したゲームを個人や企業が気軽に販売できるようにもすると言っている点です。これは、現在の次世代機でのゲーム開発は非常にコストがかかってしまうため、大作指向、シリーズ指向に陥りがちで、昔のようなアイデア勝負的なタイトルが出にくいという現状を、打破する一つの回答だとも思えます。非常に低コストで作成し、それを安価に販売できる可能性が広がるからです。インターネットがここまで普及し、音楽や映像がダウンロードで買えるようになっている現代を鑑みるならば、むしろ、遅すぎたと思えるくらいですよね。



それはさておき、自分にとって、なんといっても嬉しいのは、ゲーム機の開発環境が広く公開されたということです。これまでも似たような試みはありましたが、それらは非常にクローズドなモノでした。それとくらべると雲泥の差がある気がします。



ゲームプログラミングって、これからプログラムを覚えようかなって人たちの興味を引きやすい分野だと思うのです。だから、かつて、マイコンが登場した時の、BASIC がそうだった様に、このような試みによって、現代のプログラムのすそのが広がると素晴らしいなと思います。そして、新しい才能や感性をもっている人たちがゲーム制作に参加して、びっくりするようなアイデアのゲームが誕生してくれるともっとイイなとおもいます。当時、 BASIC の主流だった Microsoft BASIC を作っていた Microsoft がこういう流れを作り出そうとしているのも、偶然ではないんでしょう。



話は変わりますが、PS3 に採用される Blu-ray Disc の規格では、Blu-ray Java が搭載されるコトになっているハズなんですヨ。ということは、 Java の VM が載るんだし PS3 は似たようなことを Java でやってくれると、とても嬉しいんですけど。



というか、案外、あり得る話だと思ったりして。










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